2010年度 高校弁論大会を行いました
講堂において、高校生16名が、いろんなテーマで弁論を行いました。
最優秀賞 高1 平野花奈さん「殺処分という悲しい現実」 (左から2番目)
優秀賞 高2 前田紗知さん「価値基準の調和」(一番右)
優秀賞 高3 渋谷舞美さん「選挙権を18歳以上に」(一番左)
優秀賞 高3 佐藤亜依梨さん「読めない名前」(右から2番目)
殺処分という悲しい現実
S1B 23番 平野花奈
皆さん、殺処分という言葉を知っていますか?不要なものを殺して始末するという意味です。現在全国で一日何頭の犬が、殺処分されていると思いますか?一日約千頭、年間では約四十万頭の犬が殺処分という形で一生を終えています。私は毎日朝が来るたびに、「今日もまた千頭の犬が処分されるんだ。」と、胸が苦しくなります。
飼い主が飼育を放棄してしまう、その理由は様々です。 餌を買う経済的余裕がない、問題犬でしつけができない、住宅事情で飼えなくなった。そんな飼い主から飼育放棄された犬は、センターで三日間保護されます。しかし、次の飼い主がいない場合そのまま処分されてしまいます。犬は十頭ずつ、「ドリームボックス」と呼ばれる機械に押し込められ、二酸化炭素ガスを送り込まれます。そして、狭い鉄の箱の中で苦しみながら死んでいきます。その処分にかかる費用は、一頭たったの七十八円です。何の罪もないひとつの命が、たった七十八円でなくなってしまうことに、私は怒りを感じました。
私の住んでいる名古屋市では、全ての捨て犬は千種区にある動物愛護センターに運ばれます。年間約三百頭の犬が処分されています。私はその愛護センターを訪れ、職員の方に話を聞きました。職員は飼い主に、「今日、私達がこの犬を殺してしまうんですよ。」と、最後の説得をしますが、その説得に応じる人はほとんどいないということです。
全国のセンターの中で処分犬0頭の活動をしている所があります。それは熊本市です。行政、市民ボランティア、獣医師、ドッグトレーナーなどたくさんの人々の協力で処分犬0頭を続けています。病気の犬は獣医師が治療し、市民ボランティアが引き取る。問題犬はドッグトレーナーがしつけをして市民に譲渡する。熊本市ではたくさんの命が救われています。
二兆円という華やかなペット産業の裏側で、毎日千頭の犬が処分されている現状は、そっくりそのまま人間社会に置き換えることができます。家族から見離され孤独死する老人。赤ちゃんポストに捨てられる小さな命。施設に置き去りにされる子供達。犬は犬に過ぎないかもしれません。でも、犬も老人も幼い子供達も、捨てられたという心の大きな傷と悲しみは同じだと思います。人間は二つの大きな忘れ物をしたのではないでしょうか。それは、最後まで面倒をみるという責任感と、人や動物を思いやる愛情です。もう一度私たちはこの人間の心を取り戻さなければならないのです。
今、私にも何かできるはずです。職員の方の話が、私の心にずっと残っています。「病気で余命わずかな犬が、処分されてしまうのではなく、最後の時を家庭で過ごしてほしい」と。私は市民ボランティアとしてこのような犬を一頭でも多く救いたいと考えています。たとえ短い期間でも家族の一員として一緒に暮らし、心の傷を癒してあげたい。そして、最後の時まで愛情をかけてあげたいのです。たくさんの命を救うことはできません。でも今日処分されてしまうその一頭の命を助けることは、私にもできるはずです。そして、小さな活動の積み重ねで、いつか全国の処分犬が0頭になることを私は心から願っています。
どうか皆さん、動物の命も人間の命と同じ一つの大切な命であるということを忘れないでください。
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