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高校生が日本語弁論大会を行いました

2019年07月17日
小島講堂において、各クラスの代表生徒が熱弁をふるいました。

 


高校1年A組 鈴木 葉子さん 「今か明日か」

高校1年B組 東 怜未さん                                           「『バックトゥーザフューチャー』はなぜ人気なのか」優秀賞

高校1年C組 丹羽 凌大さん 「羊になるか、ならないか最優秀賞

高校2年A組 服部 紗英さん 「頑張れ」優秀賞

高校2年B組 白尾 航大さん 「スマホ ひとつの命」

高校2年C組 木村 文音さん 「小さき声」 

高校3年A組 栗谷 優吾さん 「朝が早い日本社会への不満」 

高校3年A組 高井 聡さん   「見るときは注意しないと」

高校3年B組 山下 笑さん   「自分へ」

高校3年B組 渡邉 萌さん   「反射板」

高校3年C組 竹ノ内康佑さん 「鏡をのぞいて」

高校3年C組 ハンフリーズ巴那ヘレンさん  「女子力って何だ」

 





最優秀賞 丹羽凌大さんの弁論です。



「羊になるか、ならないか」   丹羽 凌大

 日本では当たり前のことでも世界では称賛されることがたくさんあります。約束の時間を守ることや、道徳心が高いこと、礼儀正しいことなどです。落とした財布が交番に届けられることや無人の販売所があることはほかの国には見られない例です。災害時にもスーパーや公園の前で静かに整然と人が並び、長蛇の列が乱れないことや略奪が起きないことは日本人からすると当然のことでも外国人から見ると尊敬に値する行為になります。

 僕たち日本人は自分の考えとは違っていても周りに同調し群れを成すことを好む人が多いようです。かつて農耕民族であった日本人は仲間と協力しなければ生きていけないことを学びました。この精神が受け継がれ、和を乱さず秩序を守ることは今でも日本人の心に強く根付いています。このような協調性は社会で生きていくのにも必要な能力です。

 日本では周りと一緒であることが美とされる一方で海外では個性がないと思われてしまいます。実際に僕がニュージーランドの学校でグループワークをしていた時、僕も同じ意見だと相槌ばかりうっていたら先生から"Don't be a sheep, Ryota."とたしなめられたことがあります。日本語に直訳すると「羊にはならないで。」となりますが、本来の意味は「周りの意見に流されずに自分の考えをもちなさい。」という意味です。

 羊は群れを好み、周りと違うことを嫌います。羊には仲間を追いかける習性があり、羊飼いはこの習性を利用して群れを移動させています。群れが10匹であろうと1000匹であろうと関係ありません。先頭の一匹さえ動かせばいいのです。ではもし先頭の羊が誤って崖から落ちてしまったらどうなると思いますか。崖から落ちる仲間を見たら危険を察知しその場を離れるだろうと思いますが実はそうではありません。前の羊を追って同じように崖から落ちてしまうのです。

 実際にトルコで1500匹の羊の群れが、崖から踏み外した1匹の羊を追って残りすべてが落ちていったという衝撃的な事故が起きました。

 目の前の羊に追従する習性は僕たちにもあてはまるものがあるのではないでしょうか。先日ショッピングモールで僕がくじ引きの列に並んでいたら後ろの人から「すみません、これは何の列ですか」と聞かれ、とても驚きました。なぜなら彼女が並び始めてから10分以上も経過していたからです。日本人は列を見るとつい並びたくなる習性があるのでしょうか。

 本当は気が進まないのにやらなければいけないという空気になってしまったり、自分は全く意見が違うのにまわりのみんなに合わせてしまった、という経験は誰にでもあると思います。和を保つのに協調性を持つことは大切ですが、周りに合わせるのに精一杯で自分を見失っていては崖から落ちる羊と同じです。人の意見を鵜呑みにして自分で考える力をおろそかにしてはいけないと思います。

 周りと意見を合わせることは、対立をうまない賢い手段ですが、同調する意見を間違えてしまうと誹謗中傷やいじめの原因になったりします。群れでいることを好む僕たちは協調性にはとても優れていますが、この特性が悪い方向に向かうと周りの仲間や自分をも傷つけてしまいます。大勢が集まれば予想外の力を発揮できることもたくさんあります。一人では解決できない問題に直面した時、仲間を頼ることも大切ですが、群れでいることは時に危険を伴うことも忘れてはいけないと思います。

 群れ全体が悪い方向に流れていると感じるとき、自分の置かれた状況を理解し、自分の力でその群れから離れていく勇気を持たなければなりません。時には立ち止まって考えてみてください。羊になるか、ならないか。












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